きょう、サンデー山口山口版の「稜線」に掲載したコラム。



2011年に入り、1週間。

毎年、年末から新年を迎えるこの時期には、除夜の鐘初詣おせち料理お雑煮など、日本の宗教や伝統文化を感じられる行事などが連なり、自らを日本人だと「再認識する」ことができる。

今朝も、多くの人が七草がゆを食べられたことだろう。


しかしながら、よくよく考えてみると「再認識する」ということ自体、全く間違っている。

海外で生活しているわけではないのだから、毎日毎日を「日本人」として過ごせるはずなのだが、我が身を振り返っても、まるで無国籍人のような生活ぶりだ。

これでは「再認識する」こともやむを得まい。

お盆、年末年始、お宮参り、七五三、結婚式といった節目行事の際だけでなく、日々の暮らしのなかで、もっともっと和文化に接する瞬間があってもいいだろう。


終戦から高度経済成長へと、国が豊かになるのに合わせて、ライフスタイルの欧米化も進んでいった。

しかしながら、そうなればなるほど日本人としてのアイデンティティーが逆に失われ、心はどんどん貧しくなっていったようにも感じる。


40~50年前の和洋バランスが、最も幸せな日本社会を形作るのではないか。

一年間の無病息災を願って神社に参拝しながら、ふとそんなことを考えた。








40~50年前というのは、ちょうどわたしが生まれたころ。
(1966年=昭和41年生まれです)

当時は高度経済成長のまっただ中で、急速に欧米化が進行。
屋外では和服の人と洋服の人とが交じり合い、家に帰れば畳での生活をしつつも三種の神器(家電)の恩恵を受ける。
「和」の伝統を重んじつつ、「洋」の快適さを享受できるように…。
そんな日本社会は、とても幸せだったように感じます。


その後、日本社会が豊かになっていくほどに「洋」が「和」を駆逐。
両者のバランスはどんどん崩れていきました。
わたしが物心付いてからは、日常風景の中で和装を見かけた記憶はほぼありません。
そして、ライフスタイルの欧米化とともに、日本人の守るべき伝統が、次から次へと失われていきました。


今一度、わが国の伝統文化を再認識し、40~50年前の「和洋バランス」に戻すことができれば“幸せな日本”の復活につながるのではないでしょうか。


  


Posted by かいさく at 23:31Comments(0)稜線