2012年11月21日

適正な対価と産業衰退

11月9日付サンデー山口山口版の「稜線」に掲載したコラム。



今月1日に、山口スカラ座が52年間にわたる歴史に幕を下ろし、山口市内の常設映画館はゼロになった。

今後は「YCAMシネマ」「西京シネクラブ例会」といった単発上映会が観賞機会になる。


1966(昭41)年生まれのわたしにとっては、1999(平11)年に建て変わる以前の「スカラ座」「ニュー泉都」、さらに道場門前商店街にあった「金竜館」が思い出深い。

70~80年代のハリウッド映画やアニメ映画のロードショーに、お小遣いをはたいて観賞しに行った。


その後、時代は変わった。

ビデオやHDレコーダーが爆発的に普及。

それに比例するように自宅での映画観賞が飛躍的に増加し、劇場でのそれは激減した。

さらに、テレビ画面も液晶・プラズマに変わったことで大画面化。

スクリーン・プロジェクターやサラウンド音声も、庶民に手の届く価格になった。

インターネットの高速化によるビデオ・オン・デマンドも、確実に普及し始めている。

スマホで映画を見る人も増えているようだ。


観賞方法の多様化はうれしいのだが、関係者にきちんとお金が入る仕組みだけはつくっておいてほしい。

適正な対価が支払われなければ、その産業は衰退するだけだ。

そのことは、すべての業種に当てはまる。

わが国の盛衰を左右する問題だとも思う。





本年12月の閉館が決まった周南市のテアトル徳山についても、事情は違えどさびしい限りです。



 ↑ 本日(11月21日)の山口スカラ座跡。解体中です




  


Posted by かいさく at 17:29Comments(3)稜線